ピロリ菌について

ピロリ菌検査イメージ01

ピロリ菌は、正式にはヘリコバクターピロリ菌と呼ばれるもので、現在、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんの原因として、ピロリ菌への感染が深く関わっていることが知られています。

ピロリ菌は感染すると胃酸の中でも生き延びようとアンモニアを産出して胃液を中和します。このアンモニアによって胃粘膜が傷つけられ、胃炎や潰瘍が発症しやすくなります。またピロリ菌が出す毒素や、それに対する免疫反応によっても胃壁が傷つけられます。ピロリ菌が感染した状態が長く続くと慢性胃炎を発症し、「萎縮性胃炎」という状態に進行して、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどにつながる危険性が高まります。

当院ではピロリ菌感染の有無を調べる検査を実施しており、陽性となった場合はピロリ菌の除菌治療も行っています。将来の胃がんのリスクを低減するためにも、一度ピロリ菌検査を受けることをお勧めします。

ピロリ菌検査について

ピロリ菌感染の検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない方法があります。当院では下記の検査方法を実施しています。

内視鏡を用いる方法

鏡検法
胃の粘膜を採取して染色し、顕微鏡で観察してピロリ菌の有無を確認します。

内視鏡を用いない方法

尿素呼気試験
診断薬を飲んだ状態と、飲まない状態で、それぞれ息を吐き、ピロリ菌の酵素・ウレアーゼによって産出された二酸化炭素の量を測定し、判定します。この検査では、現在の感染状況を調べることができます。
抗体検査(血液検査)
ピロリ菌に感染すると、血液中に抗ヘリコバクターピロリ抗体ができます。その抗体を測定し、値の高さで菌の有無を判定します。この検査の注意点としては、現在ピロリ菌に感染していなくても、過去にピロリ菌に感染していた場合、一定の割合で陽性と判定されてしまうことがあります。

検査に関しては、現在治療中の病気の有無や服用中の薬の種類など、患者様の状況に合わせて検査法を選択します。

ピロリ菌の除菌について

ピロリ菌の除菌(一次除菌)は3種類の薬物を内服することによって行います。

  • まず胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(ボノプラザンやラベプラゾールなど)を処方します。
  • その上で抗生物質を使用します。使用するのはアモキシシリンおよびクラリスロマイシンのふたつです。
  • これらを1日2回、7日間連続して服用することで、約70~90%の方が除菌に成功します。
  • 除菌が成功したかを判定するため、内服終了後、2ヶ月以上経過してから、尿素呼気試験(前述、呼気による検査)を行います。
  • 除菌に成功しなかった場合は、抗生物質の種類の組み合わせをアモキシシリンとメトロニダゾールに変えて、二次除菌を行います。
  • それでも効果が見られなかった場合は、抗生物質の組み合わせをさらに変え、三次除菌を行う場合もあります。

※二次除菌までは保険適用ですが、三次除菌以降は保険適用外(自費診療)となります。当院では自費による三次除菌療法も行なっております。詳しくは診察時にご相談ください。