漢方内科は、中国伝統医学である中医学を基礎として、日本の気候や風土、日本人の体質や生活習慣に合わせて独自に発展した伝統医学である漢方により、患者様の健康にかかわっていく診療方法です。
現在日本では、約150処方の漢方薬が健康保険で使えるようになっています。西洋医学と漢方医学の、両方の医学的視点から患者様を診て、その方にあった薬を処方することができます。この日本の医療システムは、世界的にみても非常に貴重で、まれなことです。
なんらかの症状で悩んでいるけれど、西洋医学を基盤とした現代医学における血液検査や画像検査では診断がつかなかったり、西洋医学の治療では症状が改善しなかったりといった場合に、漢方薬によるアプローチが有効なことが非常に多くあります。
以下のような方は、漢方内科にご相談ください
- 体に何らかの不調の自覚があるものの、検査では異常が見つからない
- 通常の(西洋医学的な)治療を受けたが、十分な症状の改善が感じられていない
- (西洋医学で)処方された医薬品の副作用に悩んでいる
- よく身体がだるくなる、夏バテしやすい
- 冷えやのぼせ、肩こり、便秘、下痢などの慢性的な症状がある
- ストレスを感じやすい、すぐイライラする、不眠や不安などの悩みがある
- 立ちくらみ、めまいなどの低血圧の症状に悩んでいる
- 虚弱体質で疲れやすく、また風邪をひきやすい
- 漢方に興味がある
- 西洋医学を主とする他の医療機関では、これ以上の治療は難しいと言われた
など
漢方において重視されるのは病名や症状だけでなく。人それぞれの体質をみて診断していくという点が、個々の臓器や組織に原因があるとしてきた西洋医学とは異なっています。舌診や脈診、お腹を見る腹診などを行い、「気・血・水」という物差しで、患者様それぞれの体質や身体の抵抗力、日ごろの暮らしなど、様々な角度から心身の状態を見極めた上で、漢方治療は行われます。
西洋医学では、病名が決まれば治療方法は決まってきますが、漢方では病名が決まっても薬は決まりません。同じ病気だとしても、あくまでもそれぞれの患者様の状態に最もあったと思われる治療を考えますので、漢方薬の処方内容は変わってきます。場合によっては、そうしたアプローチのため、ひとつの漢方処方で、頭痛と下痢というように、悩まされている二つの異なった症状が改善されることもあります。
以下のような症状などに、
漢方内科は対応しています
- 内科系の症状
- 風邪やインフルエンザなどの感染症の諸症状、慢性の咳、咽頭炎、気管支炎、気管支喘息、胃の痛み、慢性的な下痢や便秘、食欲不振、虚弱体質、病後の体力低下 など
- 婦人科系の症状
- 月経痛、月経不順、過多月経、月経前症候群、更年期症候群、肌荒れ など
- 心療内科系の症状
- うつ病、不安神経症、パニック障害、不眠症、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群 など
- その他
- 肩こり、冷え症、頻尿、残尿感、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、めまい、片頭痛、こむら返り、ひきつけ、動悸、鼻血、男性更年期症候群 など
漢方では病院の診療科の別に関係なく、有効な処方を行うことができますので、該当するお悩みのある患者様は、漢方についてご相談ください。
漢方において処方される漢方薬は、自然界にある植物や鉱物などを原料とした「生薬」と呼ばれるもので、原則として複数が組み合わされています。組み合わせによる効果がどんなものか、有害なものにならないか、長年にわたる治療の経験により、体系化された処方があります。医薬品として正式に認められています。医療機関で使用されるものの多くは健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で、約150処方が承認されています。また日本では漢方薬と西洋薬(通常のお薬)を同時に処方することができます。当院では医師が一人一人の患者様しっかりとみた上で、幅広い選択肢の中から適切な処方をしていきます。